エクスペンダブルズのこと
僕は今日、ある映画を観にいきました。『エクスペンダブルズ』・・。
そうです!
シルベスター・スタローン監督脚本主演、アーノルド・シュワルツェネッガー、
ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、
ミッキー・ローク、そしてブルース・ウィリス出演の!
あの
『エクスペンダブルズ』
を観にいったのです!!
いや、公開2日目でガラガラの客席(『インセプション』とはえらい違いでした・・)
と、おじいさん層中心の客層には
ちょっと「あぁ・・」というか、
「そうなのか・・」という気がしましたが、
いや、それでもやっぱりなんか映画ばっか観てそうなダメそうな青年もちらほらいたし、
ああ、うん、やっぱそうだよね、という気にもなり、
まぁ、とにかく観てみよう、と思って劇場のど真ん中の席に腰掛けました(それほど空いてた・・)
正直言うと僕は予告編やその他のいろいろなプロモーション活動を見るにつけ、
この映画は実はそんなにおもしろくないんじゃないか、とたかを括っていました。
http://www.expendables.jp/main.html
(内容濃すぎてあんまり普通の人を惹きつけられないであろう公式サイト↑)
予告編もなんだか、「え?意外に全然金かかってないんじゃないかこれ?」
「キャスティングに金かかって内容は無い仕様なのか?」って感じの、
なんだかよくわからないもので、
「もしかしてこれがクライマックスシーンなのか?」とか思ったりする部分もあって、
上映が始まって映画の予告編が流れてる間も、
「スタローン嫌いになりたくないなぁ・・」
「ジェイソン・ステイサム、『トランスポーター』しか観てないからなぁ・・」
とか、
そんなネガティブなことばかり考えていました。
しかし!
上映開始10分、いや5分も経たないうちに、
僕はこの映画がアクション映画史に残る名作かもしれない、という予感を感じ始めていました。
映画監督としてのシルベスター・スタローンの力量は
ものすごく過小評価されているものですが、
冒頭のソマリアの海賊に占拠されたタンカーで、タンカーの中を海賊が人質を連れて
移動しているシーンの撮り方の時点でもう、
それ、-この映画が傑作であること-はもう約束されていたといっていいでしょう。
80年代アクション映画のあの生々しい感じが、
粗い画質のカメラであぶりだされ、そこに浮かぶエクスペンダブルズの文字・・
こうしてスタローンを初めとする主要キャストが勢ぞろいし、
おなじみの冒頭アクションをこなし、敵を粉砕しまくり、
夢のようなアクション映画時間が始まったのでした。
そこにはアクション映画に求めるものすべてがありました。
僕は今こうして、ちょっとテンション高めで文章を書いているので
熱さで文章力がにぶって、うまくおもしろさを伝えきれないかもしれませんが、
この文章がようするに、僕のいいたいことのすべてを語っているのです。
本当にアクション映画のすべてが、
スタローンがやってきて、そこで観客を魅了してきたものがすべて
その中にありました。
それ、ハンドガンじゃないじゃん、みたいに弾の出続けるハンドガン、
まるでおもちゃで遊んでいるみたいに一瞬で終わる弾丸の装填、
絶対に着弾しない敵の銃弾、絶対に外れない味方の銃弾、
"見張り台"の敵は見張り台ごと爆発され、ジープは手榴弾で爆破され、
主人公はダッシュで飛び立とうとする飛行機にジャンプでしがみつき、
敵のボスはヒロインを人質にして主人公を脅すわりにたいしたことのないやつで、
そいつの筋肉質部下は主人公のカンフーっぽい技で必ずやられ・・
アクションシーン以外はすべて全部恐ろしいほどテキトーに、
流しで撮影したようにへたくそに時間の隙間を埋めていき、
おもしろくもなんともないアメリカンジョークがさかんに飛ばされ。
武器の説明シーンあり、カーチェイスあり、工場での決闘あり。
そしておそろしいことに、
プロットが破綻していない、
つまり話しが退屈だったと思わない程度に、
ちゃんと話がまとめられていて、
観終わって「いい話だった」と思えるようになっている。
あえて太字にしましたが、
これはこの手のアクション映画ではとても珍しいことだと思うんです。
だいたい、どの映画もアクションでごっちゃにしてしまって、
話なんてどうでもいいものが多い。
特に、この映画に出てる人たちの映画なんてだいたいがそうで、
ちゃんと物語として見れる映画なんてとても少ない。
(ジェット・リーのやつとか、ドルフ・ラングレンの『パニッシャー』ぐらい)
でもこの映画は、スタローンの監督としての力量か、
そこがものすごくスムーズに、気持ちよく観れるようになっているのです。
「やってることは弾撃つだけ」というレベルをちゃんと維持しつつ
(下手に話の部分が多いとそれはそれでおもしろいアクション映画とはいえない、
アクション映画はアクションに時間を割くべきで、他の部分に力を入れる必要はなく、
そんなことをして90分を超える作品にする必要は全然ない)
「ああ、良かった。」と思えるようにしている。
『ランボー 最後の戦場』を観たときにも思いましたが、
本当に監督スタローンはその、普通のシーンを入れるバランスというのを
ものすごく心得ている人だと思います。
そしてそのアクション映画メーカーとしての冴えはアクションシーンの
バイオレンス描写でも際立っていて、
ようは「グロければいい」っていうのをものすごくよく心得ています。
『ランボー 最後の戦場』はその過剰なグロ表現が、
「やってることはアクション映画なのに暴力描写がグロすぎて
そこからかえって戦争の本質のようなものがリアルな体験としてあぶりだされてくる」
という離れ業に着地してしまったのですが、
ここでは見事にそれを適量に制御することに成功していて、
ナイフで腕がきられたり首が飛んだりするのをみても、
「おー、すっげー」くらいにしか感じないのです。
で、その打撃シーンのカットの重ね方、音の入れ方とかもものすごくいい!!
それに答えるかのようにジェット・リーも
「久しぶりにこんなカッコいいジェット・リーを見た。」
と思えるくらいに(ドニー・イェンばりに)カンフーしてるし、
ジェイソン・ステイサムのナイフさばきもすごくいい。
イやもうなんていうか、すべてがすごくいい。
あ、もうなんだか書くのが疲れてきたのでやめにしますが、
これはほんとに大傑作です。これを観ないでアクション映画観てるなんて言わないでほしい級です。
なのでアクション映画ファンの方はぜひご観賞ください!
100点です。
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